
『必要な時に、一つの何気ない言葉。』ep.1
「全部背負って生きていけ。」
友達の死の匂いに、“明日、死ぬかもしれない”を、身近に感じてしまったわたしは、恐怖と悲しみに呑まれていました。もうすぐ舞台の本番を迎える時でした。
そんな時に言われたのが、この言葉です。
貴方が今、与えられた役というのは、誰かが死ぬほど演じたかった役。
たくさんの人がオーディションに落ちていて、貴方がその屍の上に立っているということを、その責任を決して忘れてはいけない、と。
そして貴方が生きている“今日”という日は、誰かが死ぬほど生きたかった“明日”なんだ、と。
呑まれている場合ではない。そういう人たちの想いも全部全部背負って、精一杯、生きろ、と。
…最初、正直、この人はなんて酷い、惨いことを言うんだろうと、恨んだ。
無理だよ!そんな責任、背負いたくないよ!!背負えないよ…重い、とても重すぎるよ。
でも、“明日、もしかしたら自分も死ぬかも”という恐怖は、だからこそ今日を頑張れる理由にもなりました。
精一杯、生きよう。
最初から全員分の責任を背負うことは無理でも、でもその意識は、確かに責任感を芽生えさせ。
自分にしか向いていなかった意識が、観にきてくださるお客様へ。そしてその先へ。
死にたいと思っていたとしても、もしかしたら今日という日は尊くて。
あっ、明日を少しでも生きてみたい、なんて思ってもらえたらな。
そうしたら、役者冥利に尽きるってもんで。

